トランプ大統領 敗北認めない理由は?
【NHK】
アメリカでバイデン次期大統領が政権移行を進める一方、トランプ大統領は選挙での不正を訴えて敗北を認めておらず、退任後の政治的な影響力の維持をねらっているという見方が出ています。
アメリカではバイデン次期大統領が来月20日の就任に向けて政権移行を進め、年明け6日の連邦議会でバイデン氏当選の選挙結果が最終的に確定する見通しです。
一方、トランプ大統領はフロリダの別荘で休暇に入り、今後の対応を検討しているとみられています。
大統領は選挙で不正があったとして敗北を認めていませんが、結果を覆そうと陣営などが起こした裁判では相次いで敗訴し、身内の共和党からもバイデン氏の当選を認める動きが出ています。
大統領は選挙で不正があったとして敗北を認めていませんが、結果を覆そうと陣営などが起こした裁判では相次いで敗訴し、身内の共和党からもバイデン氏の当選を認める動きが出ています。
こうした中で一部メディアは、トランプ大統領が敗北を受け入れないままホワイトハウスを去り、同じ時期に2024年の次の大統領選挙への立候補表明を模索しているという見方を伝えています。
大統領は今回の選挙で共和党の候補者としては過去最高の7400万票を獲得し、選挙後も200億円を超える献金を集めたほか、先月の一部世論調査では共和党支持者の9割の支持を得るなど根強い人気があります。
大統領は今回の選挙で共和党の候補者としては過去最高の7400万票を獲得し、選挙後も200億円を超える献金を集めたほか、先月の一部世論調査では共和党支持者の9割の支持を得るなど根強い人気があります。
このためトランプ大統領としては、選挙での不正とみずからの勝利を訴え続けることで求心力を保ち、退任後の政治的な影響力の維持をねらっているという見方が出ていて、大統領の動向は引き続きアメリカ社会に影響を与えそうです。
恩赦の動きに注目
トランプ大統領の今後の動向でアメリカのメディアが注目しているのが、刑罰を特別に許す恩赦の動きです。
大統領は休暇直前の2日間で、いわゆるロシア疑惑をめぐり有罪判決を受けた関係者など50人近くに恩赦を与えたり減刑したりすることを発表しました。
大統領は休暇直前の2日間で、いわゆるロシア疑惑をめぐり有罪判決を受けた関係者など50人近くに恩赦を与えたり減刑したりすることを発表しました。
“大統領みずからと家族にも恩赦を検討”メディア報じる
さらに大統領はみずからと家族にも恩赦を与えることを検討しているとメディアは伝えています。
トランプ大統領やその家族については、一部で税務処理をめぐる詐欺や虚偽記載などの疑いで捜査が続けられているとされています。
アメリカでは現職の大統領は司法省の指針で刑事訴追を免れると解釈されていますが、退任後はこうした事実上の特権はなくなり、違法行為があれば訴追される可能性があります。
このためトランプ大統領としては、退任後に訴追される可能性を事前に排除しようと、予防的な措置として自分自身や家族に恩赦を与えようとしているという見方があります。
トランプ大統領やその家族については、一部で税務処理をめぐる詐欺や虚偽記載などの疑いで捜査が続けられているとされています。
アメリカでは現職の大統領は司法省の指針で刑事訴追を免れると解釈されていますが、退任後はこうした事実上の特権はなくなり、違法行為があれば訴追される可能性があります。
このためトランプ大統領としては、退任後に訴追される可能性を事前に排除しようと、予防的な措置として自分自身や家族に恩赦を与えようとしているという見方があります。
“みずからに恩赦” 専門家の見解は分かれる
一方、大統領がみずからに恩赦を与えることができるかどうかは前例がなく憲法にも明示されていないため、法律の専門家の間でも見解が分かれています。
カリフォルニア大学バークレー校のジョン・ウー教授は「恩赦に関して憲法で規定されているのは、弾劾には適用されない、連邦政府に対する犯罪でなければならない、刑事罰が対象という3つだけで、自分自身に与えていけないとはどこにも書かれていない」として、大統領がみずからに恩赦を与えることは可能だとしています。
ただウー教授は「自身に恩赦を出すことは、何らかの犯罪を犯したことを認めることでもある。悪い前例をつくることになってしまう」と話し、実行に移すべきではないと主張しています。
カリフォルニア大学バークレー校のジョン・ウー教授は「恩赦に関して憲法で規定されているのは、弾劾には適用されない、連邦政府に対する犯罪でなければならない、刑事罰が対象という3つだけで、自分自身に与えていけないとはどこにも書かれていない」として、大統領がみずからに恩赦を与えることは可能だとしています。
ただウー教授は「自身に恩赦を出すことは、何らかの犯罪を犯したことを認めることでもある。悪い前例をつくることになってしまう」と話し、実行に移すべきではないと主張しています。
ミシガン州立大学のブライアン・カルト教授は「憲法では大統領は恩赦を『与えることができる』と表現されており、『与える』ということばは自身にあてはまるものではない。裁判官が自身をめぐる裁判について裁けないのと同じことだ」として、憲法の解釈上、大統領がみずからに恩赦を与えることはできないという見解を示しています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201230/k10012787701000.html
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201230/k10012787701000.html
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