ウクライナ軍は日々ボロ負けして、防衛ラインをジリジリと後退させている。毎日数ヶ所の街や村がロシア軍に新たに占拠されている。ウクライナ軍は防衛できるだけの健常な兵力を保持しておらず、欧米諸国の参戦以外に補充できる可能性もない。ロシア軍は、イスラエル軍のように華々しい空爆を行わないし、戦場における圧倒的な優位を喧伝しないから、ハリウッド映画のような「戦勝ムード」は漂わないが、兵力の損耗を最小限にとどめながら着実に進軍している。

可哀そうなのは、嫌々ながら徴兵で搔き集められたウクライナ兵士たちだ。街中で拉致されて最前線に放り込まれた若者だけでなく、60歳を超える年寄りや妊娠中の若い女性まで駆り出されているという。元々、この戦争は、ヌーランド前米国務省次官のような「戦争狂たち(Warmonger)」に唆されて、クーデターなど企てなければ起きなかった。また、クーデター後の新政権が CIA やネオナチに煽られて、ロシア系住民を弾圧し殺害したりしなければ起きなかった。そして、内戦後に締結されたミンスク協定を遵守していれば起きなかった。さらに言えば、3月末のイスタンブール和平協定をジョンソン元英首相に鴎外されていなければ、ここまでの被害にはならなかった。

ゼレンスキーという愚かなリーダーの指示によって戦地に赴き、勝算もないのにただただ殺されていくウクライナ兵士たちが本当に可哀そうだ。「無駄死に」というのは、まさにこういう「死」のことを言うのだろう。ジャーナリズムというモノは、まさにこういう「政府の愚策による無駄死に」を批判するために存在するのだろうと思っていたが、現実のマスコミはどうも違うようだ。

日本メディアは「Stand with Ukraine」と讃美し「ともに戦う」と口ずさみながら、現状の悲惨なウクライナ軍の敗けっぷりを一切報道しない。遥か彼方の戦争ですら、情報が完全に歪曲されているのだから、万が一にも日本を巻き込んだ紛争が起これば、その報道の歪曲は今回の「ウクライナ戦争におけるデマ報道」の比較にならないだろう。「大義のために戦う」と鼓舞するのは良い。しかし、その「大義」がデマ報道で塗り尽くされ、客観的な戦況分析もない中で、勝算もなく、絶望的に不利な戦場に送り込まれるのはやりきれない。

岸田文雄という史上最低の最高司令官の下で「日本国を守るために最後まで戦う意思を持つ自衛官」がどれだけいるのかは知らないが、ゼレンスキーの指揮下で戦場に送り込まれているウクライナ兵のような扱いに陥らないことを心から望む。日本が「東のウクライナ」になることを2年前から憂えてきたが、その憂いが現実のものになる可能性が高くなっているだけに、日々、その思いは強くなっている。

自衛隊関係者によれば、在日米軍の海兵隊だけでなく、在韓米軍の海兵隊も、グアム戦線まで引いたという。米国が仕掛ける代理戦争の「駒」として、日本が使われることだけは何としても避けなければならない。そのためには、自衛隊を米軍の指揮下から切り離すことが必要だ。すでに海上自衛隊や航空自衛隊は、米国のコントロール下にあるというし、米国が時代遅れのトマホークを日本に供与したのは攻撃権限を米国が握るため(試射式にはエマニュエル米国大使が参加)とも言われているから、「時すでに遅し」なのかもしれないが。



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【国防を議論する上での留意点⑥】NATO との距離を堅持すべき理由
【国防を議論する上での留意点⑦】自衛隊における米国からの独立
【国防を議論する上での留意点⑧】日本は「東のウクライナ」になる
【国防を議論する上での留意点⑨】自衛隊には撃つ弾薬が足りない
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