バイデン米大統領は「イスラエルがパレスチナ自治区ガザで進めるイスラム組織ハマスに対する軍事作戦」について「ジェノサイド(大量虐殺)ではない」と言明した。目の前で繰り広げられている惨劇を見せつけられていても、イスラエルのネタニヤフ首相が主張するとおり、「テロに対する主権国家としての自衛権の行使」の範囲内であると解釈したようだ。

そうであれば、ますますバイデン政府による「中国政府によるウイグル人のジェノサイド」という批判は完全に根拠を失う。バイデン政権は、2021年12月に「ジェノサイドの存在」を前提として「ウイグル強制労働防止法案」を成立させたが、その際、ホワイトハウスは「我々と米議会は、中国がジェノサイドと人権侵害への責任を取らなければならないと一致している」という公式声明を出した。しかし、ウイグル人の過激派がテロを起こしたことは米国政府も一時期認めていた(トルキスタン・イスラム運動《ETIM》のテロ組織認定等)わけだから、イスラエルによるパレスチナ人の大量殺戮を「ジェノサイド」と呼ばずに、中国政府によるウイグル人の弾圧を「ジェノサイド」と呼ぶのは無理がある。

イスラエル軍は紛れもなくパレスチナ人を大量に虐殺している。その証拠は至るところにある。だからこそ、バイデン政府の影響下にある国際司法裁判所ですらイスラエルによる戦争犯罪を認め、ネタニヤフ首相の逮捕状を出さざるを得なかった。「テロに対する主権国家としての自衛権の行使」という論理で覆せるレベルではない。片や、中国政府によるウイグル人の大量虐殺は証拠がなく、米国務省の法律顧問室ですら、2021年初に「中国の行為は人道に対する罪に相当するものの、ジェノサイド(集団虐殺)であることを証明する十分な根拠は存在しない」と認めざるを得なかった。

あからさまな「ダブルスタンダード」を行使するバイデン政権は、国際的な信用と信頼を失っていく。そして、国際外交でリーダーシップを発揮する力も限定されていく。日本以外の世界の諸国は、黙ってその成り行きを見守っているが、「米国一極支配(Uniporlar)」から「多極化(Multiporlar)」へと移行する国際情勢の中で、自国の権益を如何に巧みに守るかという観点から外交を静かに展開している。日本の外務省は、ただただ堕ちていくバイデン政権に盲従するだけだ。



2024.5.21【REUTER】

バイデン米大統領は20日、イスラエルがパレスチナ自治区ガザで進めるイスラム組織ハマスに対する軍事作戦について、ジェノサイド(大量虐殺)ではないと言明し、親パレスチナ活動家からの批判を一蹴した。ホワイトハウスで開催されたユダヤ系米国人のイベントで、イスラエルは昨年10月7日のハマスによる奇襲の犠牲になったと強調。イスラエル人の安全を米国は「断固として」支援するとした。
「(ハマスのガザ地区指導者ヤヒヤ・)シンワルやその他のハマスの虐殺者たちを排除するためにわれわれはイスラエルと共にある。ハマスの敗北をわれわれは望んでおり、その実現のためにイスラエルと連携している」と強調した。バイデン政権のイスラエル支援を巡っては、親パレスチナ活動家が大統領が出席する国内イベントで抗議活動を行ったり、大統領の名前をもじり「ジェノサイド・ジョー」と呼ぶなど、風当たりが強い。バイデン氏はまた、ハマスに拘束されている人質の解放を何としても実現すると語った。

2021.12.17【朝日新聞】

米上院は16日、新疆ウイグル自治区で少数民族ウイグル族らの強制労働によって生産された製品の米国内への輸入を禁じる「ウイグル強制労働防止法案」を可決した。米下院はすでに同じ法案を可決。バイデン米大統領が近く法案に署名して成立する。法案は、新疆ウイグル自治区からの製品が強制労働によって生産されたものではないと証明できなければ、米税関・国境警備局(CBP)が輸入を差し止められるようにする内容。米ホワイトハウスのサキ大統領報道官は14日に声明を発表し、「我々と米議会は、中国がジェノサイド(集団殺害)と人権侵害への責任を取らなければならないと一致している」と述べ、同法案に賛成する意向を示唆している。一方、米政権は16日、新疆ウイグル自治区でのウイグル族などへの監視や迫害を「積極的に支援している」として、ドローン世界最大手の中国企業DJIなど8社を、米国からの投資を禁じる制裁対象とした。


2021.4.2【NEWSWEEK】

中国の行為は人道に対する罪に相当するものの、ジェノサイド(集団虐殺)であることを証明する十分な根拠は存在しない──。新疆ウイグル自治区でのウイグル人の大量拘束や強制労働について、米国務省法律顧問室は今年初め、そう結論を下した。この判断によって、トランプ前政権とバイデン現政権の双方が外交法律顧問側と対立状態に陥った。米政府の現役と元当局者3人が証言している。マイク・ポンペオ前国務長官は退任間際の今年1月19日、中国で起きているウイグル人などのイスラム教徒弾圧はジェノサイドだと語った。ポンペオによるジェノサイド認定はバイデン政権も引き継いでいる。一方、国務省法律顧問らが出した慎重な結論は、ジェノサイドが起きていないとするものではない。国務省の判断が示すのは、国籍、宗教、人種、または民族的アイデンティティーに基づく集団の「全部または一部」を破壊する行為であるジェノサイドの立証の難しさだ。集団殺害罪についての一般的認識と、1948年に採択された集団殺害罪の防止および処罰に関する条約(ジェノサイド条約)における法的定義のずれも浮かび上がる。同条約の定義を、国務省の法律顧問らは長年、ある集団の身体的・生物学的破壊を意図する行為と解釈してきた。中国のウイグル人に対する処遇は恐るべきものであり、犯罪的だという見方は米政府内でほぼ一致している。問題は、新疆での中国の行為が集団殺害罪の極めて高い訴追基準を満たしているのか、という点だ。

「国際法廷は(ジェノサイド)条約の定義の範囲に入る犯罪について、対象集団を生物学的、または身体的に破壊する意図が加害者になくてはならないと決定している」オバマ政権時代に国務省国際刑事司法室を率いたトッド・バックウォルドと、米国家安全保障会議(NSC)の元人道問題専門家アダム・キースはそう記している。条約はジェノサイドとして5種類の行為を挙げる。1番目は集団構成員の殺害だ。同時に、集団内での出生の阻止を意図する措置などもジェノサイドに定められている。ウイグル人弾圧をめぐる国務省の法的立場は、殺害という1番目のカテゴリーにこだわり過ぎ、ほかの種類の行為に十分な焦点を当てていないと、批判派は主張している。確かに、ウイグル人をはじめとする少数派の集団殺害の証拠は皆無に近い。彼らの多くが迫られているのは思想教育や強制労働だ。

だが、ほかの形のジェノサイドが進行していることを示す証拠は数多いと、スタンフォード大学法科大学院のベス・バンシャーク客員教授(人権問題)は、国家安全保障に関するオンラインフォーラム「ジャスト・セキュリティー」で指摘する。「ウイグル人に対する拷問、レイプや性的暴力は条約が2番目に挙げる『重大な肉体的・精神的危害を加える』行為に該当する可能性が高い」と、バンシャークは記す。「強制収容所の劣悪な生活環境は、3番目の『身体的破壊をもたらすよう企図された生活条件を故意に課す』行為に該当するのではないか」アントニー・ブリンケン国務長官がポンペオによるジェノサイド認定を継続したのは、国務省の所見ではなく、ジェノサイド条約の独自解釈に基づく判断だと、ある国務省関係者は話す。国務長官には同省法律顧問の助言を無視して最終決定を下す権限があり、この問題について新たに正式調査を行う必要はないという。バイデン政権のリンダ・トーマスグリーンフィールド国連大使の言うとおり、これは「ジェノサイドのように思えて」ならない事態だ。

【読む・観る・理解を深める】
【ウイグル問題に関する基礎知識①】ウイグル問題に関する聴聞会がコメディみたい。
【ウイグル問題に関する基礎知識②】ウイグル問題には、CIA が深く関与していた。
【ウイグル問題に関する基礎知識③】ウイグル人問題は「ナイラ証言」と同じだ。
【ウイグル問題に関する基礎知識④】独立した第三者の立場からウイグル虐殺説を検証する。
【ウイグル問題に関する基礎知識⑤】西側22ヶ国は批判し、ムスリム諸国ら54ヶ国は中国を支持。
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