ガザにおけるイスラエル軍のパレスチナ人虐殺は、米政府が流布してきた「中国政府によるウイグル人の虐殺」というシナリオの信憑性を著しく貶めてしまった。というのは、米政府のシナリオと平仄を合わせて「専制的な中国政府による甚だしい人権問題だ」として、中国を糾弾してきた人権主義者(?)たちが、パレスチナ人の人権について心配しないどころか、配慮するふりすらせず、逆に、異口同音にイスラエル軍によるパレスチナ人の虐殺を支持しているからだ。
彼らが真の人権主義者なのであれば、あり得ない言動だ。また、彼らは米国の大学において広がっている「ガザにおける虐殺反対」のデモを「リトル・ガザ」と呼称して、州警察による暴力的な鎮圧を正当化しており、「米国では自国政府を批判しても逮捕されないが、イスラエルを批判すると逮捕される」という事態に陥っている。平和な抗議活動を抑圧する公権力の行使を支持する人々が、中国政府による公権力の行使が「ウイグル人の虐殺」を引き起こしたと抗議している。もはや支離滅裂である。
この点に気付くと、様々な疑問が湧きおこる。
① 同じムスリム系の民族ではあるが、ウイグル人の虐殺は大問題だけれど、パレスチナ人の虐殺はまったく問題ないというのは、人権主義者として矛盾してはいないか?
② パレスチナ人の虐殺は大量の死体によって簡単に証明できる一方で、ウイグル人の虐殺について提示された死体はひとつもない。それなのに、なぜウイグル人の虐殺を事実だと言い切れるのか?
③ ムスリムの人々はパレスチナ人の虐殺に怒り、イスラエルを厳しく批判しているが、ウイグル人の虐殺を批判するムスリムの人々はいない。それは、ウイグル人の虐殺がなかった傍証ではないのか?
おりしも、「中国政府によるウイグル人の虐殺」を激烈に批判してきたアクティビストの一人が「なぜ、イスラエルによるパレスチナ人の虐殺に対して抗議しないのか?」と尋ねられて、米国政府から「批判するな」と釘を刺されたからだ、と認めてしまった。しかも、彼女の活動資金は米国政府系のファンドから出ていたことも露呈してしまった。彼らの言動の背後に「米国政府系のカネ」が絡んでいるのであれば、上記の一連の疑問は一気に氷解する。
無論、「中国政府によるウイグル人の虐殺」を批判してきた人々のすべてが「米国政府の犬」ということではないだろう。しかし、「ウイグル人の虐殺」を猛烈に批判しながら、目の前で起こっている「パレスチナ人の虐殺」を抗議しないという矛盾は、これまでの彼らの言動の信憑性を根本から覆してしまったと言ってよい。さらに皮肉なことに、ウイグル人に強制労働を課しているという口実を理由として、米国政府はウイグル自治区で生産した農作物や製品の輸入を禁じているが、その経済行動はウイグル人の賃金を引き下げる結果に終わっている。米国による偽善的な行動は、ウイグル人たちの生活向上に寄与していない。そして米国政府は、強制労働の証拠を何ら示していない。
ただ、哀しいのは、日本には「中国政府によるウイグル人の虐殺」や「中国政府によるウイグル人の強制労働」について、仄聞情報ではない確固たる証拠をもって分析し、客観的な事実を追及することなく、米国政府のシナリオを盲目的に唱える専門家しかいないということだ。仄聞情報の流布だけで日本が汚名を着せられ続けている南京大量殺戮事件や従軍慰安婦に関する国辱を忘れたわけではあるまいに。
【読む・観る・理解を深める】
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➡【ウイグル問題に関する基礎知識②】ウイグル問題には、CIA が深く関与していた。
➡【ウイグル問題に関する基礎知識③】ウイグル人問題は「ナイラ証言」と同じだ。
➡【ウイグル問題に関する基礎知識④】独立した第三者の立場からウイグル虐殺説を検証する。
➡【ウイグル問題に関する基礎知識⑤】西側22ヶ国は批判し、ムスリム諸国ら54ヶ国は中国を支持。
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