小泉悠・東大先端研講師「私は、作戦・戦術レベルのことは素人なので、実際に戦況がどうなっているかについてはあまり自信を持って言えませんが・・・」
ーー 00:37:00 からご覧ください。

久々に日本メディアを観たら、来るか来ないかわからず、訓練もままならない戦闘機の話題(ウクライナ軍は頑張りそうというトーン)で8割近くの尺を無駄遣いした後で、上記の発言。大笑いした後に、心の底から本当に呆れて、寒くなった。作戦も戦術も語れないのなら、専門家としてテレビなんかで偉そうに解説するなよ。

それにしても、「作戦・戦術の素人」に戦況を尋ねておきながら、隣にいる防衛研究所の専門家(?)に何も聞かない不可思議さ。ひょっとすると、事前の打ち合わせで、「防衛省防衛研究所研究幹事」という肩書を持つ兵頭氏から「ウクライナの戦況については聞かないでくれ」と釘を刺されていて、仕方なく、どうでもいい小泉くんが答えることになったのかもね。だったら、兵頭も出るなよ。

そこで答えることになった小泉くんの戦況分析というのが、かなり笑えるレベルで「(素人である私が)傍から見ている限りで言うと、なかなか進めていないわけですよ。もしかすると、いまが一番最後の苦しいところで、これからがぁーっと進めるという可能性もなくはないのですが、そうでないとすると、今年中にあまり大きな犠牲を出さないように、攻勢はどこかで手仕舞いして、来年以降のために戦力を温存するというのも、ひとつの戦略になってくると思います」として、実態をチラつかせつつ誤魔化しながらの苦しい解説。「ウクライナが負けている」と言えない中でのギリギリの回答を捻り出しました。もはや中堅芸人の域ですなぁ。

さらに笑えるのは、MC が「それで、今後の具体的な戦い方は?」という質問を、「作戦・戦術の素人」の小泉くんに尋ね続けるという不自然な流れ。しかも、小泉くんが答えた後に、専門家であるはずの兵頭氏に確認することなく、誰からどう見ても素人の読売新聞編集委員に振るというトンチンカン。何のために、防衛研究所の研究主幹を呼んだのかがわからない。「まともな報道」ではなく「報道という名のパロディ」として見ると、日本メディアもそれなりにエンタメしてますなぁ。



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