ウィシュマ事件でボコボコにぶっ叩かれ、NHKの「やさしい猫」に感化されてしまった入管窓口は、オーバースティの外国人をほとんど収容しなくなりました。そのため、不法残留の外国人たちが大手を振って滞在するようになっています。「不法残留者を放置している」と言わざるを得ないケースも数多く見られます。

例えば、2015年5月に「技能実習」で入国したあるスリランカ人は、帰国したくなかったので、明らかに「難民」ではなかったのに、「難民申請」を繰り返して在留を継続していました。そうこうしているうちに、パンデミックが発生し、2020年から入管が「特定活動(帰国困難)」を新設したのを良いことに、2021年3月に「特定活動(帰国困難ビザ・6ヶ月)」への変更が認められました。しかし彼は、そのビザが切れる直前に、再び「難民申請」を実行します。

難民申請が不許可になり、スリランカ人の彼は、その際に認められた「特定活動(出国準備)」の有効期限(2022年1月)が到来するまでに帰国するよう指導されましたが、完全に無視。ビザ期限ギリギリになって、入管の窓口で「帰国するカネがない」とごねて「短期滞在ビザ」への変更を獲得(在留期限2022年3月)。その後、迂闊にも在留期限を忘れて、オーバースティになったのですが、入管窓口で相談したら「短期滞在ビザ」の更新が許可されました(在留期限2022年7月)。

在留期間が長くなり、さすがに「短期滞在ビザ」の再更新は無理だと思った彼は、帰国するという道を選ばずに、またまた「難民申請」を選択。当然のごとく不許可になりましたが、出国準備期間として「短期滞在ビザ」が許可されます(ビザ期限2022年12月)。そして彼は、ビザ期限が切れる寸前で再び「難民申請」を実行します。「難民申請」を悪用する常習犯であり、確信犯といえるでしょう。

難民に相当しない理由(ギャングからカネを借りた等)を並べ立て、しかも、まったく同じ内容をコピーして繰り返し提出する彼に呆れ果てた入管は、あっという間に難民申請の審査を終え、不許可を通告。「特定活動(出国準備)」も「短期滞在ビザ」も認めずに、オーバースティ(不法残留)の扱いにしました。ところが、「帰国してください」と要請するだけで、収容しなかったのです。本人は、収容されなかったので、「在留することが入管に認められた」と認識します。

帰国せずに在留し続けるこのスリランカ人は、収容されることなく、完全に放置され、自由を謳歌することになりました。この状況のことを「オーバースティビザ」と呼ぶ人もいます。実際は「ビザ=在留が法的に認められた状態」ではないのですが、収容されることなく、実質的に日本国内での自由な在留が認められていることから、「ビザ=在留資格」が認められているのと同じだという意味です。

その後、彼の家には、2023年4月に入国警備官からの「呼出状」が届きましたが、出頭を命じられたのは2ヵ月後の6月。彼の「オーバースティビザ」は自動的に2ヶ月更新されました。彼は6月、入管に出頭し、入国警備官と面談し、帰国を要請されましたが、「帰国するカネがない」と拒否。押し問答が続いた結果、「7月に身元保証人を連れてこい」という話になりました。彼は、すでに数ヶ月以上のオーバースティになっていましたが、収容されなかったので、またまた彼の「オーバースティビザ」は自動的に1ヶ月更新されます。しかも、入国警備官との面談の中で「収容」に関する言及はまったくありませんでした。

さて、2023年7月に、彼は身元保証人とともに、入管に出頭したのですが、入国警備官の話し相手はほとんどが身元保証人。会話はこんな感じでした。
・入国警備官「彼は、退去強制事由に相当するので、本当であれば収容すべきところなのだが、身元保証人が責任をもって、彼の在留状況を管理するのであれば収容は実施しない。どうする?」
・身元保証人「収容はかわいそうです。どうしたらよいのですか?」
・入国警備官「彼は、本来収容されるべき法的立場にあるので、収容しないという方策を採るためには、仮放免という手続が必要になる。そのためには、身元保証人が保証金を収めなければならない」
・身元保証人「いくら納めればよいのですか?」
・入国警備官「保証金として10万円用意してほしい」
・身元保証人「わかりました。具体的にはどうすればよいのですか?」
・入国警備官「また、指示する」

結局、入国警備官との面談は「仮放免のための保証金」の話に終始し、申請人の帰国については、まったく言及されませんでした。ということで、難民申請の常習犯だった彼の「オーバースティビザ」の有効期間は、いまも更新され続けています。







【不法滞在問題⑤】NHK の「やさしい猫」が世の中に与えた影響は大きい。入管はオーバースティを収容しなくなった。不法滞在を放置するような入管は要らない。仕事をして下さい。

【読む・観る・理解を深める】
【不法残留問題①】不法残留する外国人は、年末に10万人を超え、30万人を目指す!
【不法残留問題②】2023年末に不法残留する外国人が10万人に達するのは防げない!
【不法残留問題③】不法残留する外国人は一度増えてしまうとなかなか元に戻らない!
【不法残留問題④】NHKの「やさしい猫」は在留資格制度の枠組を完全に無視している!
【不法残留問題⑤】オーバースティの外国人を収容しようとしない入管に存在意義はない!
【不法残留問題⑥】「やさしい猫軍団」は「オーバースティで収容するな」と騒ぎ立てる!
【不法残留問題⑦】入管は「口うるさい警察官」ではなく「合法的なビザ屋」になってしまった!
【不法残留問題⑧】難民申請を活用すれば「短期滞在ビザ」から「就労ビザ」に変更できる?
【不法残留問題⑨】外国人派遣会社が摘発されないから「短期滞在ビザ」の外国人が増え続ける!
【不法残留問題⑩】不法滞在した親まで在留特別許可を与えるのなら不法残留者は必ず収容せよ!