不法残留外国人が増えたらどうなるか? 30年遡ってみましょう。1992年3月31日付の読売新聞は「東京・上野公園周辺。京成上野駅から西郷隆盛像へと続く階段は、働き口の情報を求める二、三百人のイラン人に占領されている」と報じていました。職を求めるイラン人が大量に入国し、ホームレスとして上野公園に住み着いていたのです。当時の状況を知りたい人は、下記の記事を参考にしてください。
それでは、バブル期において、日本国内に不法に残留した外国人の人数がどのように推移したかを振り返ってみましょう。
・1990年7月1日 10.6万人
・1991年5月1日 16.0万人
・1992年5月1日 27.9万人
・1993年5月1日 29.9万人
10万人を超えてから、加速度的に増加したことを確認することができます。たった2~3年で30万人規模に増大したわけですが、その後、10万人規模に戻るまでに17年もの歳月を費やしました。不法に残留する外国人を増やすのはとっても簡単なのですが、いったん増えると正常化させるのは極めて難しいのです。
「バブル期は景気が良く、人手不足がすごかったから受け皿があったから、不法残留者が増えたのであって、いまの状況とは違う」と主張する方がいるかもしれません。それでは、人手不足の指標である有効求人倍率を確認してみましょう。
・1990年5月 1.27倍
・1991年5月 1.32倍
・1992年5月 1.04倍
・1993年5月 0.74倍
(単純平均 1.09倍:1990年から1993年《5月のみ》)
・2023年5月 1.21倍
足元の人手不足は、バブル期並みであるという経済的事実を確認することができます。しかも、バブル期と比べると、短期滞在ビザで入国する外国人の規模が違います。短期滞在ビザで入国した外国人の人数に関する統計を確認してみましょう。
・1990年(月平均)22.5万人
・1991年(月平均)24.8万人
・1992年(月平均)24.9万人
・1993年(月平均)23.4万人
・2019年5月   243.8万人
・2023年5月   173.7万人
短期滞在ビザで日本に入国する外国人の数は、パンデミック前に復帰し、早晩、200万人/月という水準には達すると予測できますから、バブル期の10倍です。これらの数値だけを見れば、不法残留者が30万人近くになっても何ら不思議ではありません。むしろ、30万人に向かわない方が不自然です。

そういう流れが見えてくれば、不法残留者に対するビジネスを手掛ける業者が増えていきます。そして、そういう業者が増えれば増えるほど、不法滞在者は減らなくなっていきます。不法滞在者の増加を食い止めるのは、いましかないのです。


【読む・観る・理解を深める】
【不法残留問題①】不法残留する外国人は、年末に10万人を超え、30万人を目指す!
【不法残留問題②】2023年末に不法残留する外国人が10万人に達するのは防げない!
【不法残留問題③】不法残留する外国人は一度増えてしまうとなかなか元に戻らない!
【不法残留問題④】NHKの「やさしい猫」は在留資格制度の枠組を完全に無視している!
【不法残留問題⑤】オーバースティの外国人を収容しようとしない入管に存在意義はない!
【不法残留問題⑥】「やさしい猫軍団」は「オーバースティで収容するな」と騒ぎ立てる!
【不法残留問題⑦】入管は「口うるさい警察官」ではなく「合法的なビザ屋」になってしまった!
【不法残留問題⑧】難民申請を活用すれば「短期滞在ビザ」から「就労ビザ」に変更できる?
【不法残留問題⑨】外国人派遣会社が摘発されないから「短期滞在ビザ」の外国人が増え続ける!
【不法残留問題⑩】不法滞在した親まで在留特別許可を与えるのなら不法残留者は必ず収容せよ!