米国は、Weaponization of Dollar(ドル資産の凍結やドル取引からの排除) があまりにも強力で使いやすい武器だったので、安易に多用してしまった。その結果、世界的な De-dollarization を招いてしまっている。この動きは不可逆的であり、軽々には覆らない。今後、バイデン政権が対応を過てば、雪崩的な Exodus from Dollar を招くリスクすらある。問題は、そのリスクをバイデン政権の高官たちが理解しているか、という点。イエレン財務長官の発言を聴いていると、米国の底力を過信しているようなニュアンスを時折感じる。まあ、ロシア産原油に対する Global Price Cap という愚策を推進した首謀者だから、到底無理なのかもしれない。市場や心理やしがらみを軽視して、我田引水的な政策を続ければ、恐ろしいしっぺ返しを食うだろう。そうなったとき、世界最大の対外債務と貿易赤字を抱える米国経済は、未曽有の困難に直面する。そのときには、ニクソンショックを遥かに上回る智慧と度量と技術が求められるが、米国にその力量が果たして残っているのか?



【今後のロシア経済を予測する際の留意点④】「AEZ+SWIFT 2.0」が本格的に台頭する
【今後のロシア経済を予測する際の留意点⑤】「新冷戦」の勃発と「ドル本位制」の終焉
【今後の国際経済を予測する際の留意点①】「WESTの稚拙」vs「BRICSの智略」の勝敗
【今後の国際経済を予測する際の留意点②】「ペロシ米下院議長による台湾訪問」の帰結
【今後の国際経済を予測する際の留意点③】「OPEC+」と「上海協力機構」における決断
今後の国際経済を予測する際の留意点⑤】内政不干渉のBRICSと主権不尊重のWEST
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