いささか古い事例になりますが、2019年に、大村入国管理センターで収容中の40代のナイジェリア人男性が死亡した理由が、食事や治療を拒否したことによる「飢餓死」だったことが公表され、入管の長期収容が問題視された頃がありました。そのときも、ウィシュマ事件と同じように、重要な情報を隠蔽しながら、世論を操作しようという記事が蔓延しました。新聞による「情報操作」の手口が垣間見えると思うので、ご紹介します。

下記の朝日新聞記事は、餓死で死亡したナイジェリア人について「窃盗罪などで実刑判決を受け」と軽く説明していますが、共同通信によれば、「薬物事件で執行猶予付き懲役刑の判決を受けた後、窃盗などの事件で実刑となり、仮釈放された」人物(要するに、刑務所に入った外国人)のようであり、薬物事件や窃盗罪の罪状にもよりますが、一般庶民の感覚で言えば、「そういう外国人は仮放免できないんじゃないの?」と思われてしまう経歴を持っています。

人権派の人たちは「かわいそうだ論」で入管を責め立てるために、「都合の悪い情報を隠す」という手法を多用しますが、その手法が結果的に入管の主張に一定の正当性を与えてしまうので、結果的に解決につながる出口から遠い方向へと問題を追いやってしまいます。仮放免や特別在留許可を為すべき基準を公に議論したほうが生産的だと思われます。

この朝日新聞の記事は「情報操作」の典型例です。この記事の中で、「かわいそうな人」の典型例として挙げられている、入管の収容センターで餓死したナイジェリア人は、
① 薬物事件で起訴され、
② 有罪になったけれど執行猶予が付いた。
③ でも、執行猶予期間中に窃盗罪を働き、
④ 有罪になって、刑務所に収監された。
⑤ 仮釈放された後に、入管に収容されて、
⑥ 仮放免が認められなかったので、
⑦ ハンガーストライキを行って餓死した、
わけですが、上記の顛末①~⑤を、「窃盗罪などで実刑判決を受け」の一言で軽く片づけてしまい、⑥と⑦をクローズアップして、多くの人たちの同情を引いて、入管の不手際を叩きまくるという手口です。「完全な誤報」かと言えば、一応、事実を踏まえているから「誤報」じゃない。でも、偏ったイメージを植え付けようとする洗脳的でミスリーディングな記事であることは事実です。新聞は、そういうヤバくてセコイことをするわけです。「私は人権派だ!」と胸を張りながら、姑息な情報隠蔽を駆使する、こういうインチキな記事に接すると吐き気がします。

2019.10.1【朝日新聞】板橋洋佳

大村入国管理センター(長崎県)で今年6月、収容中の40代のナイジェリア人男性が死亡した問題で、法務省出入国在留管理庁は1日、食事や治療を拒否したことによる「飢餓死」だったとする調査結果を公表した。男性は一時的に外に出られる「仮放免」などを求めて「ハンガーストライキ」をしており、センター側がハンストを把握してから死亡までの3週間で約13キロも体重が減っていた。入管庁によると、入管施設収容中に餓死した事例は初めて。同庁は「命に危険が及ぶと再三警告したが、本人が強く治療を拒否した」として、「対応に問題はなかった」としている。

調査結果によると、男性は2000年に入国。窃盗罪などで実刑判決を受け、仮釈放された15年に大阪の施設に収容され、国外退去命令を受けた。16年に同センターに移送された。職員が男性のハンストを把握したのは今年5月末。非常勤の医師が点滴や採血をしようとしたが男性は拒否。6月上旬までは外部の病院を受診させて点滴を受けさせるなどしたが、男性はその後、センター内外での治療を拒否。同8日ごろから部屋で横たわっていることが多くなった。体重が約50キロになった同17日には、職員が「このままでは命に危険が及ぶ」と警告したが、男性は治療拒否を継続した。診断した医師は「意識を失うか、衰弱し治療拒否できない状態になった段階で救急搬送するしかない」と判断。センター幹部も体重が約10キロ減ったと報告を受けていたが、同24日に死亡した。

司法解剖の結果、身長171センチの男性の死亡時の体重は約47キロ。5月末に比べて約13キロ減っていた。昨年10月下旬には71キロあった。解剖医は「死亡当日、点滴し搬送すれば助かったかもしれないが、可能性は高いとまでは言えない」と指摘している。センターは、食事を拒否する収容者は医師の判断で強制的に治療できるとした2001年の法務省通達を、非常勤の医師に知らせていなかった。同庁は、非常勤の医師では長時間の栄養補給ができず、近くに適当な病院もなかったなどとして、「強制的な治療は体制上困難だった」とした。

男性に仮放免を認めなかった理由については、窃盗事件が「組織的で悪質だった」と説明したが、事件内容は公表していない。河井克行法相はこの日の会見で「重く受け止めている。常勤医師の継続的な確保など強制的な治療体制の整備を指示した」と述べた。同庁によると、仮放免などを求めハンストする収容者は9月末時点で36人いるという。

〈外国人の長期収容問題〉 全国に17ある出入国在留管理庁の施設で、超過滞在などで在留資格を失い、国外退去命令を受けた外国人の収容が長期化。本人が難民認定や在留許可を求めて訴訟を起こしたり、当該国が受け入れを拒んだりしていることが原因だ。昨年末時点で収容者1246人の半数以上にあたる681人が半年以上収容されており、一時的に外に出られる「仮放免」を求める「ハンガーストライキ」が相次いでいる。入管庁は問題解決に向けて有識者で作る検討チームを設置した。来年3月をめどに提言をまとめる。





【読む・観る・理解を深める】
【ウィシュマ事件の後遺症①】ウィシュマ事件を大々的に報道するマスコミが日本をダメにする!
【ウィシュマ事件の後遺症②】入管はオーバースティの外国人を収容することに及び腰になる。
【ウィシュマ事件の後遺症③】コロナビザは出し続けるし、オーバースティもお咎めなし。
【ウィシュマ事件の後遺症④】ルール違反したらすぐに捕まえて強制送還しないとダメだよ。
【人権派の正体①】外国人犯罪が人々の近くにまで忍び寄る。背後では左翼系弁護士が暗躍する。
【人権派の正体②】いいかげんな難民申請とゆるゆるの仮放免で外国人の遵法意識は定着しない。
【人権派の正体③】ヒューマニズムを唱える弁護士の主張が常に正しいわけではありません。
【人権派の正体④】人権派を気取るメディアは、情報を隠蔽しながら、偏向的な報道を垂れ流す。
【舐められる入管①】入管が甘くなったので、外国人は入管法など無視し始めた。
【舐められる入管②】この報道が「本当」なら、日本の入管は外国人に舐められるよね。
【舐められる入管③】出国を拒否する不法滞在の外国人は3224人。その3分の1は刑事事件で有罪。
【舐められる入管④】「入管が悪い外国人を摘発する!」という番組はパッタリとなくなりました。
【規律を失う外国人①】「留学生に対する10万円の給付」よりも、大きくて深刻な問題がある!
【規律を失う外国人②】在留期限が到来しても外国人を帰国させることができない入管は要らない!
【規律を失う外国人③】オーバーステイを気にしない外国人が日本の法律など気にするわけがない。
【外国人派遣の諸問題①】外国人派遣は「不法就労」の温床です!
【外国人派遣の諸問題②】違法な外国人派遣が日本をダメにする!
【外国人派遣の諸問題③】外国人の不法就労を増やしているのは、じつは大企業。
【移民政策の諸問題①】耳障りが良く理想的な「多文化共生」は失敗だった
【移民政策の諸問題②】ウクライナ避難民の問題が表でも議論されるようになってきました。
【移民政策の諸問題③】日本人がどんどん減っている。子どもが生まれず、死ぬ人が増えている。