自国経済への悪影響が明確になる中で、米財務省系や国際金融筋は、戦争の継続に難色を示しているが、米国務省系やネオコン筋はやる気満々で降りる気配がない。米国防総省系は「実質的には勝った」と言い張れるような巧みな「出口」を探しているが、なかなか見当たらず戦況の進展に右往左往している。

ウクライナの戦場では、ロシア軍の戦略奏功と戦力上の優勢が日に日に明らかになっており、ゆっくりとではあるが、着実に支配地域を拡大している。兵隊が足りなくなったウクライナ軍は、訓練すらしていない新規徴兵組を前線に送り込むが、戦力になるまでに死傷するか投降するかという状況。

ゼレンスキーが要求している兵器や資金の要求は日増しに巨額になるばかりだが、欧米も兵器の在庫が尽きており、供給するにも供給のしようがない。欧州大陸国では「どうせ横流しするか、搾取するつもりだろう」と諦観し、米国中間選挙の結果を見極めたいというムードも出てきた。

このところ、ただひたすら、ウクライナ軍が敗け続けるというパターンが増えてきた。しかし、停戦を唱える大きな動きはない。



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