今後のロシア経済を予測する際の留意点 ―― プーチンが仕掛ける「SWIFT 2.0」――(2022.4.3)
1.はじめに
ロシアのプーチン大統領が2014年から準備してきた「ドル本位制からの離脱」の仕掛けは、かなり巧妙かつ広範に布石が打たれています。遅まきながら、その布石が秘めた恐ろしさに気付いた IMF(米国サイド)が「the greater use of other currencies in global trade would lead to further diversification of the reserve assets held by national central banks」(Gita Gopinath:IMF’s First Deputy Managing Director)と発言し対外的に警告を発しましたが、バイデン米大統領は、「FRBにおけるドル預金の凍結」という禁じ手をすでに断行してしまいましたから、ハードカレンシーとしてのドルの価値は著しく傷ついてしまっています。
ロシアは、8年という十分な歳月をかけて、SPFSという決済システムを開発し、西側からの経済制裁に備えてしたたかに準備してきたように見えます。中国は、「デジタル人民元」というインフラを整え、通貨覇権を虎視眈々と狙っています。インド・ブラジル・南アフリカは、米国からの恫喝に恭順の意を示すことなく、ロシアや中国の動きに同調する可能性が大きいと思われます。米国の外交政策に不満を持つサウジアラビアやUAEも、ペトロダラー体制(原油のドル本位制)から離脱するというカードをちらつかせている状況にあります。
ロシアの中央銀行が、米国の中央銀行に預けていたドル預金を凍結するという「バイデン大統領によるこれまでにない経済制裁」は、基軸通貨としてのドルの価値を大きく毀損し、長期的なダメージを与え続けることになると思われます。気に喰わなければ使用禁止になる「通貨」を好き好んで「ラストリゾート」として使う国は皆無です。この点では、バイデンの米国こそが独裁者です。
2.ロシア経済の持続可能性
巷では、「ロシア経済は、欧米による厳しい経済制裁で破綻する」という短絡的な予測が乱れ飛んでいますが、ロシアに対する経済制裁に参加しなかった全世界の国は、概ね150ヶ国で制裁に参加した国の約3倍もいます。また、ロシアによるウクライナ侵攻を非難する決議は、193ヶ国中、141ヶ国の賛成を得ましたが、棄権した35ヶ国の中には、中国、インド、イラン、イラクのほか、南アフリカを筆頭にアフリカの多くの国々を含んでいます。
つまり、現在希少性が増しているエネルギーと食糧を生産しているロシアは、相手国に困ることなく交易することができるわけですし、その交易先の中には、ロシアから買ったエネルギーや食糧を経済制裁に参加している国に売って鞘を稼ぐ先や、経済制裁に参加している国から買った砂糖や家電や機械や部品をロシアに売る先が必ず出てきますから、「ロシアが経済制裁で破綻する」という見方は、あまりにも浅薄で皮相的だと考えるべきでしょう。すでにロシア産原油については、中国やインドに加えて、インドネシアが購入意欲を見せています。
そもそも、「SWIFTからの排除」という政策自体が、天然ガス等の取引に関するヨーロッパ・ロシア間の決済を維持するために、ロシア最大のズベルバンクやガスプロム銀行を対象にしていませんから、それらの銀行を介すれば、ロシアとの決済に何ら問題はありませんし、ヨーロッパは、そもそも経済制裁に対して腰が引けているというのが実態です。メディアの前ではロシアを猛烈に批判するヨーロッパ各国の首脳も、英国を除き、NATOの東方侵攻を推し進めて、今回の危機を引き起こした米国に対しては、複雑な感情を抱いています。
実際、1ヶ月ぶりに再開したロシアの株式市場を見ますと、売りに対する規制を過剰に課してはいるものの、底打ちして上昇に転じましたし、ルーブルの相場も持ち直しました。現在のところ、ロシア市民の生活も、「多少不便ではあるが、困ってはいない」という感じで、ガソリン価格の高騰に苦しむ米国民と比較すれば、どっちもどっちというところ。逆に、一部には、「外資系企業に席巻されてきた国内市場をロシア企業が取り戻すチャンスだ」という見方もあるほどです。じつは、侵攻時からのルーブルの減価率は、日本円の減価率とほぼ同じレベルになるところまで回復しています。つまり、日本は、ロシア経済の心配をする立場にはまったくありません。これから、エネルギーや食糧に係わる価格の大幅上昇と円安に苦しむのは、ロシア経済よりも日本経済なのですから。
経済制裁に参加している建前になっているフランスは、トヨタが抜けたロシア市場を独占したいと思っている仏企業のルノーなどを後押しすべく、マクロン大統領がプーチンと毎日協議して、抜け道を探っているように見えます。実際、オーシャンとルロイ・メルランという仏資本の小売大手は、ロシアにおける店舗営業を継続しています。また、エネルギーの大半をロシアに依存しているドイツは、4月1日から天然ガスのルーブル支払を求めていたプーチンと交渉して、ユーロ建ての支払いを認めさせましたから、裏では何か握っているはず。経済制裁の環境下であるにもかかわらず、ロシアとの隣国であるフィンランドは、ロシアとの交易ルートであるサイマー運河を再び開きました。
外交というのは本来そういうもので、右手で殴っても、左手は握手しているものです。ウクライナ戦争の長期化や泥沼化あるいはプーチン政権の打倒までも考えているバイデンの米国と、ヨーロッパ諸国は、立場と戦略がまったく違います。逆に、エネルギーと食糧とレアメタルが不足するため、ロシアに対する経済制裁が長引けば、困るのは欧米だという面がありますし、ロシアの領空を航空機が飛べないと、欧米における物流や人流が困難になるという悩みもあります。
そもそもロシアは、エネルギーと食糧を自給自足できる国であり、市民の生活レベルがどうなるかはともかくとして、経済制裁に十分に耐え得る体力を持っています。また、他国からの経済制裁は、国内のナショナリズムを高揚させ、自国のリーダーに対する忠誠心を引き上げる側面があります。キューバやイラン、ベネズエラや北朝鮮ですら、政権が経済制裁で倒れたことはありません。しかも、ロシアは、超均衡財政を続けており、政府債務は大きくないので、市場関係者が現在煽っているデフォルトリスクも割り引いて考えるべきでしょう。もっとはっきり言えば、「FRBにおけるドル預金の凍結」というあり得ない蛮行を実施されたことを考えれば、完全に開き直って、「FRBに預けているドル預金の譲渡契約書をやるから、これでFRBから引き出してこい」と言い出しかねませんし、腹を括って「デフォルトにしても構わない」ぐらいは覚悟しているでしょう。
さらに言えば、プーチンは、西側と気脈を通じるオリガルヒたちを「この際一掃したい」と密かに思っており、西側との交易が途絶えることは、「ロシア経済を純粋化(purify)し、貧富の格差を縮小するのに好都合だ」と考えている節があります。エリツィン時代に実施された荒々しい市場経済の導入においては、西側の資本家が好きなように暴れ回り、オリガルヒのような一部の人たちを豊かにしただけで、国内の経済格差を広げる結果に終わりました。プーチンは、この際、そういう西側に組み込まれたオリガルヒたちをロシアから追放し、ロシア国民に自ら努力して豊かになる機会を与えることを狙っているのかもしれません。
3.プーチンによる国際通貨戦略
上述したように「ロシア経済が短期的に破綻する可能性は低い」ことを考えれば、注目すべきは、ロシアが開発した決済システムである SPFS と中国が運営している決済システムである CIPS を統合しようとする動きでしょう。ロシアは、すでにインドに対して、ロシア産原油をルピーで購入する際に、このシステムを利用するという交渉を進めていますから、今後ロシアと交易する国に対しては、SWIFTではなく、「SPFS・CIPS」を使うように要求してくると思われます。
中国は、国際的な通貨覇権を狙って、すでに「デジタル人民元」というインフラを諸外国に使わせるという大戦略を断行していますし、サウジアラビアなどの産油国との間で中国元による取引を押し進めていますが、「SPFS・CIPS を介した中国元取引でもよい」と思っているはずです。もしも、中国が「デジタル人民元」を使えという「覇権色」を剝き出しにした戦略よりも、「SPFS・CIPS における人民元の利用率を引き上げる」というやり方がスマートだと気付けば、ロシアとともに強力な推進役になるでしょう。
いま国際金融界では、「ブレトンウッズ3.0」という話題で持ち切りです。そこでは、「金本位制(ブレトンウッズ1.0)」の後に構築された「ドル本位制(ブレトンウッズ2.0)」の次は「コモディティ本位制(ブレトンウッズ3.0)」だという言説が乱れ飛んでいます。無論、理論的には、原油や天然ガスや小麦などのコモディティをポートフォリオにした「新しい通貨」を創り上げ、流通させることは可能です。その可能性はゼロではありません。しかし、プーチンは、戦略家であり策士でもありますから、もっと実務的で実現可能性の高い手を打つ可能性が高いと思われます。というのは、簡易で有効で実際的な手があるからです。
具体的には、「SPFS・CIPSという新しいインフラの上で、ユーロをメイン通貨とし、人民元とルーブルをサブメインの通貨とした経済圏を一緒に創らないか?」とヨーロッパと中国に持ち掛けて、インド・ブラジル・南アフリカも主要メンバーとして招き入れる「SWIFT 2.0」を提案するという作戦が極めて効果的です。「生意気な米国とデカい顔をしているドルを追い出して、もっと使いやすくて価値のある国際決済制度を一緒に創ろうぜ!」と持ち掛けるのです。
4.「ヨーロッパの国益」に寄与する提案
米国が一極支配する国際秩序に対して不満を持っている国々は世界中に数多く存在しています。「なんで米ドルを使わなくちゃいけないんだ」と思っているビジネスプレーヤーも大勢います。「米国抜きの国際通貨体制を創る!」というビジョンは、極めて多くの国のリーダーたちの心に響きます。リビアやエジプトやイラクで米国が行った策謀を忘れていないアフリカや中央アジアの国々は、このビジョンに共感するでしょうし、わざわざ米ドルを使うのは意味がないと思っている国も多いはずです。中国が長年かけて推進してきた「一帯一路」の戦略やアフリカへの投資は、新しい国際通貨システムにおける中国人民元の地位向上という形で結実するでしょう。その動きを鼓舞するかのように、ロシアのラブロフ外相は、「一極支配は終わり多極的な世界が生まれる」と公言しました。
この作戦の肝は、ヨーロッパの「ユーロ」をこの新しい国際通貨システムの仲間に引き入れて、欧米を離反させることです。元々、共通政府を持たない「ユーロ」という通貨は、構造上の脆弱性が指摘され続けてきました。それがために、経済圏としては、米国に迫ったにもかかわらず、ハードカレンシーとしての地位は決して高くなく、英ポンドの後塵を拝する局面もあるほどでした。将来的にもプーチンと共存することを考えているヨーロッパ諸国からすれば、「SWIFT 2.0」は、「ユーロ」の地位を一気に向上する「渡りに船」の提案ですし、EUを離脱した英国に対しても一泡吹かせることができます。
EUの一番の悩みはイタリアに代表される巨額の財政赤字に苦しむ国が少なからずあることで、ひとつ間違うとギリシャ危機のような事態が、イタリアやスペイン、フランスなどに起こり得ます。このため、「ユーロ」を強くすることは、各国における国債発行による資金調達を支援することになり、EU全体の利益につながります。しかも、「ユーロがそこそこ弱い」というのが、中国やロシアの狙い目で、いきなりドルから人民元やルーブルが通貨覇権を奪うことは難しくとも、まずは「ユーロ」とともにドルの覇権を突き崩し、「財政危機でユーロが崩壊した後には、俺たちの出番が来る」という長期戦略を立てることができるわけです。そういう意味で、ヨーロッパと中国・ロシアは相思相愛なのです。
ヨーロッパ大陸の諸国にすれば、米英を除いた国際金融秩序を自分たちで創り上げる近代史上初めてのチャンスでもあります。ロンドン・シティのポジションを奪取することを常日頃考えているフランクフルトやパリ、ルクセンブルクの金融プレーヤーたちは、成功のために暗躍し始めるでしょう。プーチンとしては、そこまでくれば、十分に目的を達成することができます。ロシアと中国が組んだだけの「SPFS・CIPS」であれば、「弱小通貨の2国で何ができる」と鼻で笑われるだけでしょうが、「ユーロ」が絡んでくれば、一気に話が変わってきます。「SWIFT 2.0」は、万が一実現してしまった場合に、米国の重要な国益のひとつである「ドル本位制」という牙城を崩壊させる「恐ろしい刃」と化すわけです。
4.「米国の国益」を守るための反撃
そこまでの展開が見える絵が描ければ、「ユーロをメイン通貨とし、人民元とルーブルをサブ通貨としたSPFS・CIPS」という「SWIFT 2.0」は、一挙に実現性を増します。IMF が気付いたように、遅かれ早かれSWIFTも気が付き、自分たちがしでかした大きなミステイクを悔やむようになるでしょう。「ロシアの銀行に対するSWIFT排除をすぐに止める」と言い出すかもしれません。
「SWIFT 2.0」に対して、ヨーロッパ諸国が悪くない反応を示し始めれば、米国も静観してはいられません。ドルが「ナンバーワンのハードカレンシー」という地位を失うこと、そして、「SWIFT 2.0」という米国を排斥した国際決済システムが登場することは、米国の国益上、極めて大きなダメージをもたらしかねないからです。米国が世界最大の債務を抱えても問題なく国家運営できるのは、ドルがハードカレンシーとして諸外国に受け入れられているからであって、ドルが受け入れられなくなった瞬間に、米国は、「自国通貨で債務を返済しきれない」というギリシャと同じ悲劇に見舞われます。つまり、「SWIFT 2.0」は、プーチンが米国に仕掛けた正真正銘の「経済戦争」なのです。
無論、米国は愚かでも意気地なしでもないので、手を拱いて「SWIFT 2.0」の出現を待つようなことは絶対にしません。手を変え品を変え、陰に陽に、軍事力を含めた総合的な外交力で叩き潰すべく、関係諸国に対して、「SWIFT 2.0」に協力しないように強力に働きかけることでしょう。すでにインドに対しては、ロシアが提案するルピーでの支払いを再考するように外交圧力をかけています。
その意味で、これからは、ウクライナにおける実際の戦争に加えて、「SWIFT 2.0」を巡る外交戦争が秘密裏に火を噴きます。そうなってくれば、ロシアの弱体化やプーチンの失脚を狙ってウクライナ戦争を長期化・泥沼化させたい米国も、長引かせれば長引かせるほど、ヨーロッパ諸国をロシア側に歩み寄らせ、「SWIFT 2.0」を推進する方向に流れが傾きますから、これまでのように煽り一辺倒ではいかなくなります。となれば、米国も、ウクライナ戦争の終わらせ方を考えざるを得ず、米国・ヨーロッパ・ロシア・中国を含んだ関係者による落としどころを巡る駆け引きが始まるでしょう。今後は、ウクライナの戦場以外における各国の動きにも、目を光らせておく必要があります。
5.ウクライナ和平をめぐる欧米の駆け引き
米国メディアが垂れ流している偏向したニュースのおさがりを報じている日本のマスコミでは、「ウクライナが頑張っている」「ロシア軍は弱い」というストーリーになっていますが、米国の軍事関係者の中には、「ロシアは作戦通りに戦い、作戦目標を達成した」「ウクライナ軍はすでに負けている」と分析している専門家も少なくありません。仮に、メディア報道と異なり、ウクライナ軍の敗勢が明らかなのであれば、天然ガス供給の問題を抱え、交易上もロシアと断交するつもりがないヨーロッパ諸国は、ロシアから「SWIFT 2.0」というお土産をちらつかされれば、早期に和平を合意して、ロシアと取引を再開する方向に動きます。
というのは、ウクライナからの難民が押し寄せる恐怖をヨーロッパ各国が抱いているからです。いまは、戦争の熱狂の中で忘れ去られていますが、シリア難民のときの失敗を繰り返したいと思っている首脳は皆無です。そもそも、ウクライナ戦争の前まで、EU諸国は「ベラルーシがポーランドに難民を輸出していることはけしからん」と文句を言っていました。ポーランドから各国に押し寄せようとしているウクライナ難民の恐怖から逃れるためにも、和平を望むでしょう。
ヨーロッパが和平に対して前のめりになれば、米国も「SWIFT 2.0」を阻止するために、ヨーロッパ勢の取り込みに走らざるを得ません。重い腰を上げて、ウクライナの和平を早める方向で動くでしょう。ヨーロッパの要望に応える形で、ロシアへの経済制裁を弱めることに同意する代わりに「SWIFT 2.0」ではなく、現在の「SWIFT」を中心に「ドル本位制」の維持に協力するように要請するというディールになると思われます。ロシアへの経済制裁の緩和を認める代わりに、「SWIFT 2.0」に行かないように約束させるという綱引きが始まるわけです。
しかし、すでに一部ではドル離れの動きが始まっており、ドルを介さない為替取引を前面に押し出す欧州の大手銀行も現れています。ロシア・中国・サウジアラビア・UEAなどの国に加え、ブラジルや南アフリカなどはドルを介さない「SWIFT 2.0」の趣旨に賛成する国々は少なからずいますから、単にヨーロッパ諸国を取り込むだけでは、ドル離れの動きは止まらないのかもしれません。そうなれば、米国は、「SWIFT」の主要メンバーにロシアや中国やサウジアラビア・UAEを取り込むなどして、「SWIFT 2.0」への流れ自体を「SWIFT」に取り込むという荒業を決断しなければならなくなる可能性すらあります。
6.「日本の国益」からの留意点
日本は、「とにかく米国に従えばよい」というスタンスではなく、上記のような複合的に展開する複雑な国際環境の中で、「日本の国益」をどう守るかという点を速やかに再考すべきです。とにもかくにも、日本がロシアと敵対関係になり、ロシアが中国と緊密な関係を築くことは「日本の国益」にとって、極めて都合が悪いことに思いを至らせるべきだと思われます。
特に、中国・ロシア・北朝鮮という核を持つ独裁者の国に囲まれて、三正面で戦争をする可能性があるという途方もない最悪のリスクを考えるならば、「ロシアと本当に敵対してよいのか」という点を熟考すべきです。すでに、日本を「非友好国」と見なしたロシアは、北方領土の国後・択捉両島の演習場で1,000人以上が参加した軍事演習を開始しているのが実情です。
今後到来し得る尖閣諸島などの危機において、核を持つ中国と、米国が軍事的に対峙してくれるのかという疑問も強まりました。今回のウクライナのように、棄ててもよい前線として扱われ、米国に煽るだけ煽られてから、「武器は売ってやるから自分で戦え」と言われることだって、絶対にないとは言えません。
上記のような駆け引きの中で、このまま何もしなければ、日本は、「SWIFT 2.0」を巡る駆け引きから置いてきぼりにされるでしょう。中国は「アジアの主要通貨」の地位を日本円から奪取したいと考えていますから、日本が「SWIFT 2.0」において主要な地位を占めることは絶対に許しません。結果的に日本が「SWIFT 2.0」から外されてしまえば、日本円の地位はますます堕ちていくだけです。日本の自己満足としか捉えられていない「東京を世界屈指の国際金融センターにする」などという大見得は、本当に空虚な空文言に終わってしまうでしょう。
そのような事態を招かないようにするために、日本は、経済制裁の右手を振り上げながらも、左手でロシアと水面下で握手し、ロシアとの取引を再開する準備を始めるべきです。今回、日本政府としても「サハリン開発を継続する」という重大な判断をしたわけですから、その権益を守るためには、ロシアと定期的に協議できるルートを確保することが必要です。また、米国とともに「SWIFT」の中に「SWIFT 2.0」の動きを取り込んでしまう戦略を構築しつつ、ヨーロッパがロシアや中国に取り込まれないように、外交努力を傾けなければなりません。
いまは、「日本の国益」にとってかなりの正念場だと思われます。
【読む・観る・理解を深める】
➡ IMF がプーチンが仕掛けた「ドル本位制の崩壊」という経済戦争に気付きました。しかし、中国・インドはロシア側につくでしょう。サウジ・UAE・ブラジル・南アフリカも参加するか?
➡ CIPS は、経済制裁を受けたロシアとの連携でどう変身するのか?
➡ The Bretton Woods 3:国際金融システムが大変革する!
➡ プーチンと習近平は、ドルを基軸通貨とした国際経済に戦いを挑む?! これは両国にとってチャレンジする価値のある戦いだ!
➡ ペトロダラー体制の崩壊?:これって、マジで「ドル本位制」から「マルチカレンシー制」へと展開したい勢力がかなりいるってことだよね。
➡ プーチンは、マジで「米ドル経済圏からの離脱」を考えているのか? もし、そうなら、一大事件だ! 中国・インド・ブラジルは追随するだろう。
➡ 経済制裁でプーチンは失脚しませんよ。キューバを見なさい。イランを見なさい。それが現実です。
➡ ロシア経済の今後について、実務家が予測しています。ロシアは村八分になる? でも、デフォルトはしない?
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nfea
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