これから雇用調整助成金で塩漬けになっている休業者211万人が労働市場に出てくる。参院選のことしか考えていない岸田政権は、雇用調整金の正常化を先送りするだろうが、1年以上自宅待機させてもよい対象となった不要な正社員を雇い戻す企業は多くない。

雇用調整助成金が正常化すれば、結果的に、完全失業者180万人以上の求職者が出てくることになり、完全失業率が5%を超える可能性もあるが、若年層を欲しがる求人企業のニーズと合致しないため、求職者のマインドセットが相当変わらない限り、当分の間、高い失業率が続く可能性がある。

本来であれば、そうならないように、自宅待機期間中に、早晩解雇対象になる覚悟をさせ、マインドセットの変化を促し、転職活動を推奨すべきだったが、政府や当局は何もしなかった。問題を先送りしただけだ。処方を先送りすれば、病は重症化し、治癒を困難にするが、岸田政権は参院選までは何もしない肚だろう。

2022.4.26【日本経済新聞】

仕事に就いていても一定期間休んでいる「休業者」の数が高止まりしている。2021年度は211万人で・・・完全失業者より多い水準だった。・・・前の年度に比べて51万人減ったが、コロナの影響がまだ小さかった19年度比で見ると約30万人多い。21年度の完全失業者数(191万人)より20万人も多い。業種別で休業者が多いのは宿泊業・飲食サービス業(25万人)、卸売業・小売業(24万人)などコロナ感染の拡大に伴う行動制限の影響を強く受けた業種だ。・・・厚労省が26日に発表した月間有効求人数は21年度の月平均が226万5947人と、19年度に比べて40万人ほど少ない水準だった。雇用維持を続ける企業の一部が積極的な求人を控えている可能性がある。一方で、求職者数は195万5923人とコロナ禍前より24万人強増えた。失業者が求職しているケースのほか、転職希望の人も含まれる。・・・








 


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