岸田政権が打ち出した「留学生に対する10万円の給付」が話題になっています。ネットでは「どうして留学生だけなんだ!」という声が溢れています。この制度自体は、すでに日本人を含めた困窮している学生に対する支援策として実施されていますので、岸田首相としては「既存の制度を延長して、これから入国する留学生も対象にすればいい。これまでずうっと待たせたわけだか・・・」ということなのでしょうが、納得できずに反発する国民は少なくないようです。

ただし、「10万円の給付」よりも、もっと深刻な問題があります。それは「コロナビザ」です。

正しくは「新型コロナウイルス感染症の影響により帰国が困難な中長期在留者及び元中長期在留者からの在留諸申請の取扱いについて」という文書に基づいた「特定活動」のことを指しますが、在留外国人の間では「コロナビザ」と呼ばれています。このビザは、在留カードが発行されて、「住民」としての権利が保障されるだけでなく、週28時間以内の就労が認められています。2020年12月からは、中長期在留者でなくても就労が認められるようになったため、日本は「観光客でも就労できる」「帰国できないと言い張れば在留できる」という非常識な状態が続いています。

入管法において、就労ができるか否かは「在留資格制度の根幹」だったはずなのですが、「コロナビザの導入」で、入管はその「根幹」を自ら廃棄しました。しかも入管は、「コロナビザ」の申請の際に「理由書」を徴求しており、その「理由書」には「航空便の運行状況が改善するなどし、帰国が可能となった場合は、速やかに帰国します」と書かせています。つまり、飛行機が飛ぶようになったら帰国するという約束をしているのですが、帰国させていないのです。

すでに飛行機は、アジア各国に向かって飛んでいます。直行便がなくとも、韓国のインチョン、タイのバンコク、UAEのドバイ経由で帰国することが可能です。外国人出国者数の推移を観ても、2019年12月に4.9万人だったのが、2020年5月に1.7万人にまで落ち込んだものの、2021年12月には6.1万人にまで回復し、コロナ禍前の水準を大幅に超過しています。帰国できるのに、「帰国困難ビザ」が許可されるという異常な状況は、一刻も早く是正しなければなりません。

在留外国人の「規律」は、「帰国したくない」「入管法違反で逮捕されたくない」というモチベーションで支えられています。したがって、「帰国できないと言い張れば、在留できて就労できる」という環境になってしまった瞬間から、在留外国人の「規律」は崩壊に向かいました。技能実習生は失踪をためらわず、留学生は退学を恐れません。規律が緩み切った在留外国人は、日本の脇の甘い制度を最大限活用しようとします。「コロナビザ」で在留と就労が保障されているので、失業保険や非課税給付金や現金アルバイトで「楽して稼ぐ」というライフスタイルに慣れ親しんだ外国人が数多くいます。

彼らは、非課税証明書を持っていれば、非課税給付金がもらえたり、社会福祉協議会から特例貸付がもらえることを知っているので、正社員志望なのに現金払いの就職先を探したりします。雇用調整助成金や失業保険をもらいながら、密かにアルバイトする者も多く、現金払いの仕事や源泉徴収のない月8.5万円以下のアルバイトを転々としています。そういう中、「働くのはバカ」「就職するのは損」「納税はバカ」というムードが醸成され、そういう実態がSNSで拡散し、海外で話題沸騰。分かりやすい事例で言うと、「私、非課税給付金でネイルサロン行っちゃった」みたいな感じです。

こういう中で、3月1日から水際措置が見直しされ、観光目的以外に関する外国人の新規入国が認められました。外国人の入国を正常化すること自体は正しく、批判すべき点は全くありません。しかし、いまの日本は、「帰国できないと言い張れば、在留できて就労できる」わけで、世界で一番就労ビザが取りやすい国となっています。「コロナビザ」が撤廃されていない現状のままで、入国する外国人が増えていきますと、入国直後に「コロナビザ」に駆け込む事態が懸念されます。

しかも、入国者が増えるということは、入国便とともに帰国便も増えるということを意味していますから、ますます「コロナビザ」を認可する正当性は失われます。無論、この問題に気付いて不受理扱いにしている入管の現場もありますが、各入管や審査官で対応がバラバラであり、正常化には程遠い状況です。一刻も早く「コロナビザ」を廃止し、廃止したという事実をハッキリと表明することが必要です。遅れれば遅れるほど、問題は大きくなっていきます。この対策は立法措置を伴いません。明日にでも決行すべきです。











【読む・観る・理解を深める】
➡ 岸田政権は正しく日本を率いていけるのか? 「出国」の正常化も、「在留」の正常化も、「入国」の正常化にも興味なし!?

➡ 衆院選間近! 新任の古川法務相は、入管行政の正常化には踏み込めない?! 今回の入管行政の失敗は、民主党政権における2010年の失政を超えるのか?!

➡ 新しい法務大臣は、古川禎久衆議院議員になりました。外国人参政権に反対する保守派の大臣です。入管行政の正常化は図られるのか?!

➡ いまは「観光客でも日本で就労できる」という異常事態が続いています。オリンピック後に大問題にならないことを祈ります。技能実習も留学も現場はぐちゃぐちゃです。

「移民は是か非か?」という高邁な議論をする前に、目の前にいる「在留外国人」を直視すべきです。正面から議論しないから、入管政策がぐちゃぐちゃになっているのです。


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