ファイザーの資金援助によって実施され公表された「Six Month Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA COVID-19 Vaccine」(medRxiv)の調査結果は、極めて興味深いです。ファイザーが資金援助している研究ですので、ファイザー寄りの論文であり、最もファイザーにとって好都合なデータであると推測されます。しかし、その論文が公表しているデータを淡々と眺めてみると、色々と示唆に富む結論が得られます。この点は重要なので強調しておきます。下記は、ファイザーが公表した「ファイザーにとって最も好都合であるはずのデータ」から導き出される結論です。

1)ワクチンを接種した人には、死亡する確率が 0.01%~0.02%あります。

ワクチンを接種した 21,926人の中で、接種した副反応によって死亡した人が3人います。つまり、極めて稀であるとはいえ、0.0137%の確率で死ぬわけです。もっとも、プラセボを接種した 21,921人の中でも、接種した副反応で死んだ人は 5人いるわけで、0.0228%の確率で死んでいますから、ワクチンが危険だと言うよりも、接種するという行為自体にマイナス要因があるとみるべきでしょう。しかし、ワクチンもプラセボも接種しなければ、わざわざこのリスクを冒すことはありません。したがって、ワクチンやプラセボを接種しないということは、それだけで0.0137%~0.0228%のリスクを軽減できるわけです。つまり、接種すると死ぬ可能性が 僅か(0.01%~0.02%)であるとはいえ存在しているわけですから、それを上回る明らかなメリットがワクチン接種には求められます。

2)ワクチンを接種した人には、生命の危機に見舞われる確率が 0.1%もあります。

ワクチンを接種した 21,926人の中で、接種した副反応によって生命の危機(Life-threatening)に見舞われた人は21人もいます。つまり、0.0958%の確率で死の危険に遭遇するわけです。もっとも、プラセボを接種した 21,921人の中でも、接種した副反応によって生命の危機に見舞われる人は 26人いるわけで、0.1186%の確率で死の危険に遭遇していますから、ワクチンが危険だと言うよりも、接種するという行為自体にマイナス要因があるとみるべきでしょう。しかし、ワクチンもプラセボも接種しなければ、このリスクを冒すことはありません。したがって、ワクチンやプラセボを接種しないということは、それだけで0.0958%~0.1186%のリスクを軽減できるわけです。つまり、接種すると生命の危機に見舞われるリスクが0.1%あるのですから、ワクチンを接種することによるメリットは、0.1%を大幅に上回っていなければなりません。

3)ワクチン接種によって、コロナの重篤化を回避できる確率は0.1%しか改善しません。

プラセボを接種した23,037人の中で Severe COVID-19 に罹患した人は30人います。つまり、重度のコロナになる確率は0.1302%にすぎません。
一方、ワクチンを接種した23,040人の中で Severe COVID-19 に罹患した人は1人しかいませんでした。つまり、0.0043%しか重度のコロナにならなかったわけですが、ワクチンを接種した効果は、 0.1259%の向上分しかないことがわかります。コロナに罹患して重篤化するリスクを概ね0.1%軽減するために、生命の危機に見舞われる可能性が概ね0.1%あるワクチンを接種するという行為に、「リスクに見合ったメリットがある」と言えるでしょうか?

4)ワクチンを接種しなくとも、99.9%の確率で、コロナにかかって重症化することはありません。

プラセボを接種した23,037人の中で Severe COVID-19 に罹患した人は30人います。つまり、重度のコロナにならなかった人は23,007人(=23,037人-30人)ですから、ワクチンを接種しなかった人の中で、重度のコロナにならない人の比率は、99.8698%になります。要するに、何もしなくとも、コロナで重症化することは極めて稀であるという事実を確認することができます。

5)ワクチンを接種しても、生存率が改善されるわけではありません。

ワクチンを接種した 21,926人の中で COVID-19 で1人死亡していますので、0.0046%の死亡率になります。その一方、プラセボを接種した 21,921人の中で は、COVID-19で2人が死亡しましたから、死亡率は0.0091%になります。つまり、COVID-19 に関する限り、ワクチンは、死亡率を0.0045%改善させたわけです。ただし、ワクチンを接種した 21,926人の中で死亡した人は15人であり、死亡率が0.0684%である一方、プラセボを接種した 21,921人の中で死亡した人は14人であり、死亡率が0.0639%ですから、ワクチンを接種すると、死亡率が 0.0045%悪化します。いずれにしても、誤差の範囲なので、ワクチンを接種しても、生存率は改善しないという事実を確認できます。

6)ワクチンを接種した人は、1.2%の確率で、重度の副作用に見舞われます。

ワクチンを接種した 21,926人の中で Severe Adverse Event になった人は262人もいます。つまり、1.1949%の確率で、重度の副反応に見舞われます。その一方、プラセボを接種した 21,921人の中で Severe Adverse Event になった人は150人います。したがって、プラセボを接種しただけでも、0.6842%の確率で重度の副反応に見舞われますから、その確率は、ワクチンの場合、 0.5106%高いという事実を確認できます。ただし、ワクチンもプラセボも接種しなければ、副反応は発生しません。したがって、ワクチンを接種するメリットは、「1.2%の確率で重度の副反応が発生する」という事象よりも大きなものでなければ見合いません。

上記の事実をまとめてみますと、以下のようになります。
・ワクチンを接種した人には、死亡する確率が 0.01%~0.02%あります。
ワクチンを接種した人には、生命の危機に見舞われる確率が 0.1%もあります。
・ワクチン接種によって、コロナの重篤化を回避できる確率は0.1%しか改善しません。
・ワクチンを接種しなくとも、99.9%の確率で、コロナにかかって重症化することはありません
ワクチンを接種しても、生存率が改善されるわけではありません
・ワクチンを接種した人は、1.2%の確率で、重度の副作用に見舞われます

何度も言いますが、これらはファイザーが出してきたデータから導き出される結論です。おそらくもっともファイザーにとって好都合なデータによって立証された結論です。

さて、果たして、ワクチン接種にリスクを上回るメリットはあるのでしょうか?

➡ 米国CDCのデータによれば、ワクチンを接種すると感染率や入院率や死亡率が格段に減ります。しかし、ワクチン接種の副反応を勘案すると?(ファイザーの「95%トリック」と同じ)も参考になります。

➡ 非常に残念ながら、厚生労働省のデータを淡々と見る限り、ワクチン接種が原因で死亡した方が、すでに400人~500人規模で発生している可能性を否定することができません。も参考になります。

➡ 鹿先生が、中日・木下投手がワクチン接種後に重篤になった件について解説しています。怒ってます!・・・この専門家は患者を大切に思って日々治療をしている医者ではありません!も参考になります。

➡ 医薬品等行政評価・監視委員会において、コロナワクチン接種の推進に関し強い疑義を示した佐藤准教授による質疑の議事録が公開されました。必読です。心筋炎についても触れています。も参考になります。

➡ コロナ問題やワクチン問題を、科学的・体系的に理解したい方は、「科学的事実①:はじめに」から「新型コロナウイルス感染症に関する科学的事実(第三版:2021.5.24)」をお読みください。