1964年、世界医師会総会で採択された「ヒトを対象とする生物医学的研究に携わる医師のための勧告」のことを「ヘルシンキ宣言」といいます。生物医学的研究は、最終的にヒトを対象とした臨床試験を経なければ、実際の医療として活用できないわけですが、現在の臨床試験は、この「ヘルシンキ宣言」を倫理的基盤としています。そして、この「ヘルシンキ宣言」の重要な原則として、ヒトを対象とする臨床試験を実施するためには、つぎの3項目が必須とされています。

1)科学的・倫理的に適正な配慮を記載した試験実施計画書を作成すること
2)治験審査委員会で試験計画の科学的・倫理的な適正さが承認されること
3)被験者に,事前に説明文書を用いて試験計画について十分に説明し,治験への参加について自由意思による同意を文書に得ること

問題は、上記の「説明文書を用いて・・・十分に説明」と「自由意思による同意を文書に得る」という部分になるわけですが、特に、この「説明文書を用いて・・・十分に説明」という部分は、後になって相当揉めそうですね。

ちなみに、日本医師会がHPで公開している「ヘルシンキ宣言(和文)日本医師会訳」では、「WORLD MEDICAL ASSOCIATION:ヘルシンキ宣言 人間を対象とする医学研究の倫理的原則」の第26条として、下記の条件を明記しています。

インフォームド・コンセントを与える能力がある人間を対象とする医学研究において、それぞれの被験者候補は、目的、方法、資金源、起こり得る利益相反、研究者の施設内での所属、研究から期待される利益と予測されるリスクならびに起こり得る不快感、研究終了後条項、その他研究に関するすべての面について十分に説明されなければならない。

被験者候補は、いつでも不利益を受けることなしに研究参加を拒否する権利または参加の同意を撤回する権利があることを知らされなければならない。個々の被験者候補の具体的情報の必要性のみならずその情報の伝達方法についても特別な配慮をしなければならない。

被験者候補がその情報を理解したことを確認したうえで、医師またはその他ふさわしい有資格者は被験者候補の自主的なインフォームド・コンセントをできれば書面で求めなければならない。同意が書面で表明されない場合、その書面によらない同意は立会人のもとで正式に文書化されなければならない。医学研究のすべての被験者は、研究の全体的成果について報告を受ける権利を与えられるべきである。

 





最高裁長官も下記のようにコメントしていました。大ごとにならないことを祈ります。

 

処置の目的・性質・有益性と危険性等について必要十分な説明を行っていない場合、ワクチンを接種した医師は、暴行罪や傷害罪に問われる可能性がある???も参考になります。

「日常生活に支障がある副反応が5%~10%ある」という説明なし。コロナワクチンに関するインフォームド・コンセントはキチンとされているのだろうか?も参考になります。

➡ コロナ問題やワクチン問題を、科学的・体系的に理解したい方は、「科学的事実①:はじめに」から「新型コロナウイルス感染症に関する科学的事実(第三版:2021.5.24)」をお読みください。