「新型コロナウイルス感染症」に関する科学的事実
―― 「緊急事態宣言」の発令や延長に科学的根拠はあるのか? ――
2.無症状感染者による感染拡大という前提
l 「ロックダウン的な手法(緊急事態宣言を含む)」を正当化する論理の背景には、「無症状感染者が感染を拡大している」という仮定が置かれています。しかし、その仮定は、中国・武漢の9,865,404人を徹底的に調べた「Post-lockdown SARS-CoV-2
nucleic acid screening in nearly ten million residents of Wuhan, China」(Nature【資料67】)が示した「無症状感染者は感染を拡大させていなかった」という科学的事実を無視しています。
Ø この調査では、300人の感染者のうち、3人(そのうち2人は同じ家族。つまり2家族)を抽出して、感染者が所属していた2家族(この家族は、陽性だが、誰一人症状がある人はいない)と濃厚接触した人1,174人を調べたところ、誰一人感染していなかったことが判明しています(A total
of 1,174 close contacts of the asymptomatic positive cases were traced, and
they all tested negative for the COVID-19.)。
l また、家庭内における二次感染を研究した論文(54の論文における77,758人のデータ)を分析した「Household Transmission of SARS-CoV-2(A
Systematic Review and Meta-analysis)」(The Journal of
the American Medical Association【資料68】)は、無症状の感染者が他者に感染させる確率は0.7%にすぎないという科学的事実を明らかにしています。この程度の低い可能性であるにもかかわらず、健常者に対して、「ロックダウン的な手法(緊急事態宣言を含む)」を行使することは正当化できません。
Ø この論文は、「発症している人が感染させる確率は約2割だけれども、無症状者が感染させる確率はほとんどない(Household secondary attack rates were increased from symptomatic
index cases (18.0%) than from asymptomatic index cases (0.7%).)」ことを明らかにしています。
Ø また、無症状感染者を分析した「Contact Tracing Assessment of COVID-19 Transmission Dynamics in
Taiwan and Risk at Different Exposure Periods Before and After Symptom Onset」(The Journal of the American Medical Association【資料69】)でも0.4%(2,761人中11人)しか感染させていませんでした(ただし、この論文は、二次感染させた確率が全体で0.7%であったため、「無症状者の感染は約半数ある(0.4%/0.7%)」という誤解を招く結論を導いています<尾身分科会会長のネタ元>)。
l これらの学術論文が示すように、「無症状感染者は感染を拡大させなかった」ということが、一般的な科学的事実であった場合、「緊急事態宣言」の正当性は完全に失われます。そして、その場合は、「緊急事態宣言」自体が正当性を失うだけでなく、「緊急事態宣言」を回避するために「国民全員に対するワクチン接種」を推進する、という政策も正当性を喪失してしまうことを意味します。ちなみに、東京都大田区の感染対策課長が、区議からの質問を受けて、国立感染症研究所などの当局に問い合わせてみたにもかかわらず、結果的に「無症状感染者が感染させる」ことを証明した論文はなかった、と答弁しています(2020.9.29大田区議会議事録【資料70】)。
Ø もっとも、「Temporal
dynamics in viral shedding and transmissibility of COVID-19」(Nature Medicine【資料71】)のように、「44%が無症状のときに感染したと推察される」と結論付けた論文もあります。しかし、この論文における証明は、①AとBが無症状の状態のときに濃厚接触をした、②Aがしばらくして発症した、③その後Bが発症した、という状況証拠を示しているだけであり、「AとBが濃厚接触した時期」以外の時期に、A・Bがともに隔離されていないため、BがAではない第三者から感染した可能性を排除できていません。
次へ ➡ 新型コロナに関する科学的事実⑬:1918年のインフルエンザにおける経験則
前へ ➡ 新型コロナに関する科学的事実⑪:ロックダウンによる感染拡大の抑止効果
➡ 「ロックダウンは効果がない」と主張する専門家は大勢いました。「ロックダウンしても死亡率に大差はない」という学術論文も沢山でています。でも、日本では全く報道されません。も参考になります。
➡ 太田区議が質問したら、感染対策課長は「無症状者から感染したと証明されている論文は、見つかりませんでした」と回答したそうです。これがなぜ報道されないのかがわからない。も参考になります。
➡ 人流抑制で感染拡大を止められるというナンセンスを続ける無能な専門家たち。そもそもピークアウトしてから緊急事態宣言してどうする。ロックダウンも意味がない。も参考になります。
➡ コロナ問題やワクチン問題を、科学的・体系的に理解したい方は、「科学的事実①:はじめに」から「新型コロナウイルス感染症に関する科学的事実(第三版:2021.5.24)」をお読みください。
【資料67】Nature(2020.11.20)
・Post-lockdown SARS-CoV-2 nucleic acid screening in
nearly ten million residents of Wuhan, China
https://www.nature.com/articles/s41467-020-19802-w
【資料68】The Journal of the American Medical Association(2020.12.14)
・Household Transmission of SARS-CoV-2(A Systematic Review and Meta-analysis)
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2774102
【資料69】The Journal of the American Medical Association(2020.5.1)
・Contact Tracing Assessment of COVID-19 Transmission
Dynamics in Taiwan and Risk at Different Exposure Periods Before and After
Symptom Onset
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2765641
【資料70】大田区議会(2020.9.29)
・議事録「大田区決算特別委員会」
https://www.youtube.com/watch?v=fI-RZWbzzSI&feature=youtu.be
【資料71】Nature Medicine(2020.4.15)
・Temporal dynamics in viral shedding and
transmissibility of COVID-19
https://www.nature.com/articles/s41591-020-0869-5
コメント