「新型コロナウイルス感染症」に関する科学的事実
―― 「緊急事態宣言」の発令や延長に科学的根拠はあるのか? ――
第Ⅳ章 緊急事態宣言の効果と正当性
l 「ワクチンの有効性」が「副反応のリスク」を大きく上回るという科学的事実を主張できないとすれば、「新型コロナワクチンを接種して新型コロナウイルス感染症を克服しないと、また緊急事態宣言を実行することになる。それによる経済や社会のダメージは測り知れない。だから、新型コロナワクチンの接種を推進するしかない」という論理を構築するしかありません。そこで本章では、緊急事態宣言に代表される「ロックダウン的な手法」が、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に効果があったか否かを検証します。
1.ロックダウンによる感染拡大の抑止効果
l 今回の新型コロナウイルス感染症に対する各国のロックダウンの状況を分析した結果をまとめた論文「Covid-19 Mortality: A Matter of Vulnerability Among Nations Facing
Limited Margins of Adaptation」(Frontiers in Public
Health【資料62】)によれば、新型コロナウイルスの死亡率は、①緯度・経度、②平均寿命、③公衆衛生の状況、④経済状況、⑤気温等の要因によって決定されており、「ロックダウンのような措置」が死亡率を変化させたという結果は得られなかった、と結論付けています。これは、スペイン風邪(1918~1919)の感染を分析した数多くの論文と同じ結論を示しています。
Ø この論文【資料62】では、「ロックダウンのように感染症と戦う趣旨で設けられた厳格な措置は、死亡率とは関係がなかった(Stringency of the measures settled to fight pandemia, including
lockdown, did not appear to be linked with death rate)」と結論付けています。
l 分かりやすい米国の例で言えば、新型コロナウイルス感染症に対して「規制」で対抗したノースダコタ州と「自由」で対応したサウスダコタ州で、感染者の推移がさほど変わらないのが象徴的です(Grand Forks Herald:2021.1.4【資料63】)。ちなみに、10万人当たりの死者数を過去3年間と比べると、ノースダコタ州は+31%でしたが、サウスダコタは+18%にとどまっています。また、ロックダウンを信奉するカリフォルニア州とロックダウンを否定するフロリダ州に関して、感染症関連の諸計数を比較すると、統計的に有意な差異はありません(Mail Online:2021.1.22【資料64】)。
Ø ちなみに、タンザニアは、「ロックダウンやソーシャルディスタンスを全く実施することなしに、新型コロナウイルス感染症を克服した」と主張しています(TRT World:2021.2.7【資料65】)。
l 日本においても、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を抑止するという点で、「緊急事態宣言」の発令は効果が薄かったということが統計上明らかになっています。例えば、年初の「緊急事態宣言」(2021.1.8開始)に関し、東京都における発症日別の陽性者数の推移を見ると、ピークは1月4日になっていますし、昨春の「緊急事態宣言」(2020.4.7開始)に関しても、ピークは4月3日でした(発症日別による陽性者数の推移【資料66】)。つまり、「緊急事態宣言」が発令される前に感染拡大は収束に向かっており、「緊急事態宣言」によって収束速度が劇的に加速されたという結果も統計上得られていません(実効再生産数を計算しても、同様の結果が得られます)。この事実は、数多くの専門家によって指摘されています。
Ø ちなみに、2回目の「緊急事態宣言」の対象となった都道府県(東京・埼玉・千葉・神奈川・大阪・兵庫・京都・愛知・岐阜・福岡・栃木の合計)と、対象外の都道府県(合計)における陽性者数の推移を重ねてみると、ほぼ同じトレンドが観察されます。つまり、「緊急事態宣言」の有無によって、統計上有意な差を認めることは難しいのが実情です。
次へ ➡ 新型コロナに関する科学的事実⑫:無症状感染者による感染拡大という前提
前へ ➡ 新型コロナに関する科学的事実⑩:新型コロナワクチン接種の正当性
➡「ロックダウンは効果がない」と主張する専門家は大勢いました。「ロックダウンしても死亡率に大差はない」という学術論文も沢山でています。でも、日本では全く報道されません。も参考になります。
➡ ロックダウン派のカリフォルニア州と規制緩和派のフロリダ州を比べてみると、どうなったでしょうか? あまり差はありませんでした。ロックダウンって、本当に効果あるの???も参考になります。
➡ ノーガード戦法と批判されたスウェーデンの感染事情は、ロックダウンした他の欧州国の平均値と比べて決して悪くありません。人々はノーマルに暮らし、経済は正常に機能しています。も参考になります。
➡ コロナ問題やワクチン問題を、科学的・体系的に理解したい方は、「科学的事実①:はじめに」から「新型コロナウイルス感染症に関する科学的事実(第三版:2021.5.24)」をお読みください。
【資料62】Frontiers in Public Health(2020.11.19)
・Covid-19 Mortality: A Matter of Vulnerability Among Nations
Facing Limited Margins of Adaptation
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7710830/
【資料63】Grand Forks Herald(2021.1.4)
・North Dakota got a mask mandate, South Dakota didn't.
COVID-19 cases have plummeted in both
https://www.grandforksherald.com/newsmd/coronavirus/6824462-North-Dakota-got-a-mask-mandate-South-Dakota-didnt.-COVID-19-cases-have-plummeted-in-both
【資料64】Mail Online(2021.1.22)
・Two states, two VERY different COVID tactics.... but
the same depressing result: California ordered strict lockdowns, while Florida
'trusted common sense' and now both have nearly identical case rates,
hospitalizations and deaths
https://www.dailymail.co.uk/news/article-9176263/Florida-California-took-opposite-approaches-COVID-19-ended-outcome.html
【資料65】TRT World(2021.1.22)
・Tanzania says it's free from Covid-19 and rejects
vaccine
https://www.youtube.com/watch?v=8cqtEn_zXqA
【資料66】東京都(2021.2.7)
・発症日別による陽性者数の推移
https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/cards/positive-number-by-developed-date/
コメント