入管が「やさしい猫軍団」にビビって、オーバースティに対して優しく在留期限に甘くなってしまった結果、これまでの「入管行政の常識」が覆ってしまった感じがあります。その中でも顕著なのが、「短期滞在ビザ」からの在留資格変更。従来であれば、「短期滞在ビザ」からの在留資格変更はできない、というのが「(昔の)常識」だったのですが、いまでは、「やむを得ない特別の事情」があれば「短期滞在ビザ」からの在留資格変更はできる、というのが「新しい常識」になっています。しかも、そのお墨付きを与えているのが入管の窓口だったりするから、その「新しい常識」が優勢になっています。

実際「短期滞在ビザ」からの在留資格変更に関する「昔の常識」と「新しい常識」がせめぎ合ったケースがあります。あるカメルーン男性のケースです。2023年2月中旬に「観光ビザ(在留期限2023年5月中旬)」で入国した彼は、入国当初「東京で就職活動をして、在留期間の3ヶ月のうちに内定をもらって帰国し、認定申請を行い、許可が出たら日本で働く」という「昔の常識」を持っていました。必死で就職活動を行ったのですが、ビザ期限まで1週間近くに迫ったのに内定がもらえません。焦った彼は、ブローカーが紹介したレフト系弁護士に相談に行きました。

そのレフト系弁護士は「新しい常識」を持っていました。彼に「まずは、すぐに難民申請をしなさい」と助言。「でも、ボク、難民じゃないから」とためらう彼に対して、「難民申請をすること自体に何らペナルティはない。ウソがばれたところで、難民認定が不許可になるだけで、何も損はない」と説得。何としてでも、日本で出稼ぎをしたいと思って来日した彼は、在留期限の1週間前の2023年5月初に難民申請を実行します。難民申請のやり方は、レフト系弁護士がネットで検索して、申請事例のひな型を示し、彼自身に書かせました。それは、入管から「申請のやり方はどうやって知ったの?」と聞かれた際に、「パソコンで検索して、自分で調べました」と答えさせるためです。

難民申請を行った彼は、申請の結果が出るまで日本に在留し続けることができます。彼は、必死で就職活動を続け、難民申請の1ヶ月後の2023年6月初に、ある日本企業の内定を獲得しました。彼は、自分で行政書士を探して、認定申請を依頼します(難民申請に係ったレフト系弁護士は、申請手続と自分の存在を関連付けないようにするため、在留資格の変更申請には関与しないケースが少なくない)。依頼を受けた行政書士は、彼が帰国することを条件にして、認定申請を実行しました。

ところが、その後、行政書士が要請しても、レフト系弁護士の助言を受けているカメルーン男性は帰国しようとしません。押し問答が続く中、2023年6月下旬、レフト系弁護士が予め説明していたとおり、「特定活動(難民申請中・2ヶ月)」が入管から許可されました。正式に2ヶ月在留できる権利を得た彼は、ますます「帰国しないゾ」という肚を固め、「帰国しなくてよい申請」を行政書士に強く要求するようになります。

「昔の常識」が正しいと信じる、この行政書士は「観光ビザから就労ビザに直接変更することはできない」と彼の要求を突っぱね、母国に帰国して結果を待つように諭しますが、カメルーン男性は納得しません。レフト系弁護士から「帰国しないで、就労ビザに変更できる」と強くアドバイスされていたからです。しかし、行政書士が「帰国しないでよい申請」に合意してくれなかったため、彼は「だったら、あなたの言っていることが正しいかどうか、入管と相談する」と言い放ちます。

2023年7月中旬、彼は品川にある東京入管の窓口で相談しました。
・カメルーン男性「帰国しないで就労ビザに変更したいのですが、なんとかなりませんか?」
・東京入管窓口「認定申請されていますね。帰国されますか?」
・カメルーン男性「絶対に帰りたくありません。帰国しないで就労ビザに変更したいのですが、なんとかなりませんか?」
・東京入管窓口「許可は難しいと思いますよ」
・カメルーン男性「構いません。申請させてください」
・東京入管窓口「わかりました。認定申請を取り下げて、在留資格変更申請をしてください」
・カメルーン男性「ありがとうございます」

カメルーン男性から「帰国しなくて良い申請を受け付けると入管が言っている」と言われた行政書士は立つ瀬がありません。渋々ながら、在留資格変更申請の書類を作成。2023年7月下旬に、認定申請を取り下げた上で、在留資格変更申請を行ったところ、入管に受理されました。行政書士の「昔の常識」は、レフト系弁護士の「新しい常識」に負けてしまったのです。

要するに、「短期滞在ビザ」で入国した外国人は、まず難民申請を行って、その後「特定活動(難民申請中・2ヶ月)」が許可されれば、「就労ビザ」への変更申請ができるという道ができてしまったわけです。無論、許可されるか否かはわかりませんが、窓口で「短期滞在ビザからだから受理できません」という扱いになっていた「昔の常識」は、「短期滞在ビザでも、裏技を使えば、在留資格変更申請ができる」という「新しい常識」に塗り替えられてしまったわけです。

こういう情報は、あっという間に広まりますから、「難民申請」が今後激増する可能性すら否定できません。今回の改正入管法で「正当な理由のない難民申請は3回以上できない」ということになりましたが、逆に言えば、「正当な理由のない難民申請であっても、2回までは受理される」わけですし、上記の「裏技」であれば、1回目の難民申請の正式な審査が終わる前に「就労ビザ」への変更申請が為されるわけですから、今回の入管法改正は何ら障害にならないのです。

事実を客観的に観れば、日本国内において、本物の「難民」に相当する外国人は極めて稀ですし、マスコミやレフト系弁護士が流布する「難民はかわいそうだ話」には、ウソが多く含まれています。例えば、下記のニュースに出ているミャンマー男性は「難民が不許可になったら母国に帰るしかない」と言っていますが、現在ミャンマー人については「緊急避難措置」が適用されているため、難民申請をしなくても帰国する必要はありませんし、難民申請が不許可になっても帰国する必要はありません。こういう「帰国リスクのない外国人」ではなく、本物の難民を出して、その人が母国で迫害された理由やその根拠を示すべきなのに、巨大なメディアの力を以てしても、それができないわけです。

私自身、この10年間において、難民申請者に1,000人以上対面でお話ししてきましたが、「自分が難民であるという事由」を説明できた外国人に出遭ったことがありません。その一方、観光ビザで来日して1回「短期滞在ビザ」を更新できたものの、入管に「これが最後だ」と言われた後、難民申請したウズベキスタン人や、日本語学校や専門学校に1~3年通った後に就職できなかったので難民申請したベトナム人や、2年間続いた「帰国困難ビザ」がなくなった直後に難民申請した中国人のことなら、よく知っていますし、そういう輩は本当に大勢います。

色んな形で悪用されている「難民申請」については、「今回の入管法改正で解決した」と誤解することなく、さらに適切なルールや運用になるように実務上改善していく必要があります。その上で必要であれば、さらなる入管法改正も視野に入れるべきでしょう。「やさしい猫軍団」に入管がビビって、筋の悪い対応を続けるのであれば、難民申請を悪用する輩は後を絶たず、後顧に憂いを残してしまいます。じつは「難民申請」をした後、「就労ビザ」への変更申請した外国人に限って、「就労ビザが許可されたら、母国に一度帰国してもいいか?」と尋ねてきます。どうして「(母国に帰ることができない特別の事情を持っている)難民」として申請している外国人が、そういう質問をするのでしょうか?






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